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「甘い」八功徳水その一

 チベット高原には標高六千六百メートルのカイラス山が聳えています。この山の周囲、五十二キロの長い道のりを五体投地(両手・両膝・額を地面に投げ伏す礼拝)を行いながら巡礼する、チベット仏教の信仰者が今もいます。このカイラス山は古来より仏教の「須弥山ーしゅみせん」、即ち世界の中心に位置する山にたとえられました。この山は、七つの海に取り囲まれ、その海水には「甘・冷・軟・軽・清浄・無臭・飲む時とき喉をいためず・飲みおわって腹をいためない」という八種の功徳があるといわれています。水は私たちの心と同じく様々にその姿を変えます。時には洪水を起こし大きな災害を生み、大地に凍てつく氷となる水も、飢え渇きに苦しむ人に、たった一杯の水を差し上げることができれば、命をつなぐ尊い甘露の水になるのです。

2010年06月03日(木)|カテゴリー:伝道はがき通信